日本の電気自動車(EV)向け急速充電規格の普及団体「CHAdeMO(チャデモ)協議会」が22日開いた総会で、志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)は、米独8社が独自の充電規格を立ち上げたことに対して、「顧客の利便のため、技術的に互換性を持たせる働きかけを強めていく」と譲歩とも取れる発言をした。規格争いの混乱を収束させ、EV普及を優先させる「名を捨てて実を取る戦略」への転換だ。
インフラ普及不可欠
日本の急速充電機の規格「チャデモ」は2010年、日産自動車やトヨタ自動車など主要メーカーが中心となって設立した同協議会で決めた。急速充電設備は現在、国内で1000カ所を超え、世界でも1400カ所超に広がっている。同協議会では、「EVの普及に急速充電インフラの普及は不可欠」(志賀会長)として、欧米メーカーに世界標準化を働きかけてきた。
これに対し、米ゼネラル・モーターズや独フォルクスワーゲンなど米独8社は今月、家庭電源を使う普通充電と急速充電の両方のプラグを持つ「コンボ」と呼ぶ新たな規格を13年にも実用化し、採用する方針を表明。急速充電専用のプラグしか持たないチャデモへの対抗姿勢をあらわにしたとみられる。
この日の志賀会長の発言は、当初の世界標準化に向けた動きから柔軟姿勢に転換したもの。「両方の規格で技術的な互換性を確保することは可能」として米独勢への説得を強める。