巧みな利益分散 デジタルの特性を逆手
世界一の時価総額を誇るアップル社。その企業価値を表す時価総額は、日本の大手電機メーカー8社の時価総額を合わせた額の3倍を超える。何が日本企業と違うのか? 起業家精神? イノベーション? デザイン? センス? マーケティング? おのおのその答えとして適当だろう。しかし、アップルの、他社の追随を許さない絶対的な力量は、一般的によく言われている上記のようなポイントではない。アップルの力の源泉は「節税力」なのだ!
抜け穴だらけの法
アップルのイノベーションを代表するのは、iPhoneでもiPadでもない。それは節税方法である。アップルほど数多くの節税イノベーションを起こした会社はないのだ。
米国内ではネバダ州やテキサス州など低税率の自治体を活用し、国外ではオランダやアイルランドやバージン諸島やルクセンブルクといったタックスヘブンを使って莫大(ばくだい)な節税を達成している。
アップルの今期の“利益”は約460億ドル(約3兆7000億円)と推定される。これは単体の米国企業としては史上最大の利益である。
アップルが優れた節税イノベーションを発揮できる理由はその商品構成にある。アップルの売り上げの多くは、鉄や自動車のような現物ではない。音楽やアプリなどのソフトであり、それらはオンラインでデジタル化された価値である。これらは船や飛行機に乗せなくても瞬時に国境をまたいで移動し、通関の手間もかからない。そして、デジタル製品の米国内そして国際的な取引についての法律や規制は抜け穴だらけ。法の未整備状況を逆手にとって、アップルは世界中で巨額の節税を行っているのだ。