「東電の人件費高すぎる」 値上げ審査、消費者団体の批判相次ぐ (1/2ページ)

2012.6.29 05:00

 東京電力の家庭向け電気料金値上げ申請を審査する経済産業省の電気料金審査専門委員会で28日、消費者団体から「料金の原価に算入する人件費や燃料費などが高すぎる」との批判が相次いだ。値上げの時期が計画していた7月1日から大幅にずれこむ公算が大きい中、消費者の強い反発を背景に、値上げ幅の圧縮に向けて東電が一層のリストラやコスト削減努力を迫られる可能性も強まってきた。

 「公的資金を注入されるのだから、人件費をもっと絞るべきだ」。専門委で意見表明に立った日本生活協同組合連合会の代表者は、社員の給与などを見直すよう強く求めた。

 東電は福島第1原発事故以降、社員の給与を平均23%カットし、平均年収は事故前の700万円超から約556万円にダウンした。従業員1000人以上の企業の平均給与と同水準に抑えられたため、専門委は料金原価への算入を認める方向で調整を図る構えだった。

 しかし、値上げに反発する消費者団体の声を受け、消費者庁の検討チームが30%以上の給与削減や当面のボーナス凍結などを求める考えを打ち出すなど逆風は強い。人件費をめぐる調整は今後、曲折も予想される。

 消費者団体や一部の有識者は、東電の燃料費についても批判。日本に1~3月に輸入された平均価格よりも、東電は原油を約5.9%、液化天然ガス(LNG)を約1.7%高い価格で調達する計画で、合理化の深掘りを求めている。

 また、東電は事故に至らなかった福島第2原発1~4号機などの再稼働を見込み、維持費や減価償却費などとして年平均900億円を今後3年間、原価に算入する考えだが、「脱原発が国民の意思であり、再稼働を前提とした料金体系はおかしい」(日本消費者連盟)との不満もぶつけられた。