東京電力が申請している家庭向け電気料金の値上げを検証してきた経済産業省の専門家委員会は5日、査定方針案をまとめた報告書を枝野幸男経産相に提出した。燃料費の一部減額や健康保険料の会社負担引き下げなどを盛り込み、原価の500億円前後の削減を求めた。同委の安念(あんねん)潤司委員長(中央大法科大学院教授)は、査定結果を反映して原価を削減すれば「値上げ幅は1ポイント前後圧縮される」として、東電が申請した10.28%から少なくとも9.3%前後に抑えられるとの見通しを示した。枝野経産相は7月中に最終判断する見通しだが、政府内には8%台に抑えるべきだとの声もあり、値上げ幅がさらに圧縮される可能性もある。
報告書は、燃料費のうち液化天然ガス(LNG)の値上がり想定部分など約100億円の削減を求めた。借入金の利払いなどに充てられる「事業報酬」は算定根拠を見直すことで約100億円を減額すべきだとした。健康保険料の会社負担では60%から全産業平均の56%に引き下げて約40億円を削減。修繕費の随意契約見直しなども明記した。
一方、消費者団体などからの批判が強かった人件費は申請の1人当たり年間598万円(賞与、諸手当を含む)を「妥当」と判断。運転停止中の福島第1原発5、6号機と同第2原発の減価償却費も算入を認めた。