次世代テレビ技術で提携を発表したパナソニックとソニー。ライバル関係にあった両雄が手を組む「歴史的瞬間」だが、共同開発の行方を不安視する声が噴出している。過去の因縁を断ち切った“パナ・ソニー連合”に期待が寄せられるものの、デジタル家電分野で世界を圧倒する韓国勢に打ち勝てるかは未知数だ。
「これほどまでに中途半端な提携が、うまくいくはずがない」
パナソニックOBのある男性は、両社の合意について痛烈に批判した。
6月25日。パナソニックとソニーは、次世代テレビの本命と期待される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の大型パネルなどを共同開発することで合意し、平成25年末までに量産技術の確立を目指すと発表した。
しかし、今回の提携について批判的な意見を述べる関係者は少なくない。冒頭のパナソニックOBが問題視するのは、両社が技術を開示し合うものの、パナソニックは京都市内、ソニーは神奈川県厚木市内の開発拠点という別々の場所で研究を進めることだ。これでは課題共有が進まず、開発スピードが遅れる恐れがあり「単独だけでは不安なあまり、とりあえず手を組んだだけの“逃げ道”としか思えない」(OB)というのだ。