来年3月に増やされる羽田空港の新たな国内線発着枠をめぐり、航空各社の争いが激化している。国土交通省は年内にも発着枠の割り当て先を決める方針だが、手厚い公的支援を受けた日本航空に対し、ライバルの全日本空輸が「配分を受ける資格がない」とかみついた。
ドル箱とされる羽田の発着枠シェアは業績への影響が大きいうえ、今回の配分の判断基準は今後の国際線発着枠割り当ての前哨戦にも位置付けられるだけに、両社とも一歩も引かない構えだ。
「資格なし」に衝撃
「破綻事業者は、発着枠の配分を受ける資格がない」
8月22日、羽田の国内線発着枠の配分基準を議論する国交省の有識者会議で、全日空の清水信三上席執行役員がこう発言すると会議の空気は一変。北海道を主戦場とする新興航空会社のエア・ドゥの斎藤貞夫社長が「市場リーダーが公的支援を受けつつ、さらに増便すれば競争環境はゆがめられる」と追い打ちを掛けると、出席者の緊張感は一気に高まった。
「破綻事業者」「市場リーダー」とは日航に他ならない。全日空側は、清水発言は「せめて破綻後最初の発着枠配分では、(破綻とその後の公的支援を)適切に評価に反映すべきだ」との意味と説明するが、「資格なし」と断じたコメントは航空関係者に衝撃を与えた。