消耗戦ともいえる値引き競争を続けてきた牛丼チェーンが、「脱デフレ」にかじを切り始めた=東京都千代田区の牛丼店【拡大】
値引き競争を展開してきた牛丼チェーンが一転、高価格路線にかじを切り始めた。ゼンショーホールディングス(HD)が展開する「すき家」は、「豚かばやき丼」(630円)を今月初めに発売、吉野家ホールディングスの「吉野家」も、「牛焼肉丼」(480円)を先月投入した。安売りに魅力を感じなくなった客を呼び戻す狙いだ。(金谷かおり)
すき家に新登場した「豚かばやき丼」は、じっくり蒸して炭火で焼いた豚肉を白米に載せ、「箸で切れる」柔らかさが特徴だ。入れ替わりで販売終了した豚肉メニュー「豚とろ丼」(380円)に比べて高価で、同社は「昨年、一昨年は割引で来店を促したが、新たな魅力を出していきたい」(広報)と意欲的だ。
すき家は8月にも、丼ものメニューでは最も高い「牛トロ丼」(680円)を発売。これまでのところ売れ行きは好調という。
吉野家が先月13日に発売した「牛焼肉丼」も、牛丼(380円)の値段を上回るが、「ディスカウントはせずに新商品を投入する方向に考え方が変わっている」(門脇純孝専務)と戦略の転換を強調する。