日本政府観光局(JNTO)が16日発表した10月の訪日外国人旅行者数(推計値)によると、東日本大震災発生前の2010年同月比で2.9%減の70万6100人だった。このうち中国からの訪日旅行者数は、政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化の影響から団体観光客のキャンセルが相次ぎ、33.2%減の7万1000人だった。
日本を訪れる中国人の数は今夏まで過去最高水準で推移してきたが、尖閣諸島の国有化を受けて9月に急減。10月は中国の国慶節の連休があり、旅行者数の回復が期待されたにもかかわらず、逆に大幅に減少する結果となった。
記者会見した井手憲文観光庁長官は「キャンセル自体は減っているが、新規予約が入りにくくなっており、好転の気配はない」と今後も厳しい状況が続くとの見方を示した上で、「中国以外の東南アジアなどに力を入れる必要がある」と述べた。
国別の訪日外国人旅行者数は中国の落ち込みが目立つ一方で、台湾やタイ、マレーシア、ベトナム、インドが10月としての過去最高記録を更新するなど、他のアジア各国の好調さが目立った。