重電3社の電力事業が復調 原発代替、火力の引き合い急増 (1/2ページ)

2012.11.21 05:00

日立製作所は今月、扇島パワーが15年度に稼働させる火力発電の新設工事を受注した。写真は2号機=横浜市鶴見区

日立製作所は今月、扇島パワーが15年度に稼働させる火力発電の新設工事を受注した。写真は2号機=横浜市鶴見区【拡大】

 大手重電3社の電力事業の業績が回復しつつある。2013年3月期の電力事業の営業損益見通しは全社そろって上方修正。東京電力福島第1原発事故で原発関連の収支が厳しい半面、それを補うためにフル稼働する火力発電のメンテナンス需要が急増しているためだ。原発代替で火力発電の新設が相次ぎ、先行きの受注も底堅い。ただ、電力会社の業績悪化を背景に入札時の価格競争が激化するなど逆風も吹く。安定した収益を上げるための基盤づくりをいかに強化できるかが鍵を握っている。

 東芝は9月中間決算に合わせて、電力関連事業の13年3月期の売上高と営業利益予想を従来見通しから上方修正した。火力発電向けのタービンの販売が好調なためで「下期も好調を見込む」(久保誠専務)という。

 日立も電力部門の売上高と営業利益を上方修正。前期は欧州での火力発電向けタービン材の不具合に伴う費用計上で営業赤字に転落したが、中村豊明副社長は「収益管理を徹底した結果、安定した事業になってきた」と話す。三菱重工もガスタービンの受注が好調で、営業利益を増額修正した。

 重電3社はいずれも、当面は国内の老朽火力発電の補修事業などに加え、今後は国内外での引き合いが急増する新設需要の取り込みを急ぐ。日立は今月、扇島パワー(横浜市)が15年度に稼働させる火力発電の新設工事を受注し、三菱重工も当面の受注が1兆円を超えるなど、今後の成長力は備えている。