ライバル会社をけ落とすためならば、豊富な資金力を生かし、損をしてでも勝負を仕掛けるという“豪腕”経営を実践してきた。それだけに、すでにJSTと基本特許のライセンス契約は結んでおり、「シャープの特許という壁はあるものの、サムスンが本気になれば、キャッチアップは想像以上に早いかもしれない。IGZOは1、2年で陳腐化するだろう」と別の関係者は推測する。
シャープが、米クアルコムと共同開発する中小型向け次世代パネル「MEMSディスプレー」は部材が少なく、消費電力は通常の液晶パネルの約半分という特徴を持つ。実用化すれば世界初で、新たな収益の柱として期待される。
平成25年3月期の連結最終赤字が4500億円にまで膨らむ見通しとなったシャープ。MEMSディスプレーのような、IGZOと並ぶ“虎の子”を複数持たないと、今の危機を乗り切ることはできないかもしれない。(島田耕)