大同特殊鋼、機能性金属粉末の生産能力5割アップへ

2012.12.11 16:03

 大同特殊鋼は11日、約10億円を投じ、機能性金属粉末の新製造ラインを名古屋市の粉末工場に増設し、年間生産能力を現在の1・5倍の1万5000トンに増強すると発表した。スマートフォン(高機能携帯電話)やハイブリッド自動車(HV)、電気・電子分野の需要増加に伴う市場拡大に対応するのが狙いで、稼働開始は2013年4月の予定。

 新製造ラインの増設では、溶解炉や高圧ポンプ、噴霧チャンバーの導入などを行う計画だ。

 機能性金属粉末は耐食性・耐摩耗性が必要な機能部品の原材料として広く使われており、2年間で市場は約15%拡大。特に携帯端末や車載用電子部品に使われるインダクタやHV、太陽光発電のリアクトル(大型電圧変圧器)などの分野では今後も高い成長性が見込まれており、原材料である機能性金属粉末の需要も大きく高まっている。

 大同特殊鋼は今後の市場拡大を踏まえ、機能性金属粉末の開発を加速。新製造ラインの増設後は「多様化するニーズに対応し、従来の自動車構造部品のみならず、HV、電気自動車(EV)などへの販売拡大にも注力する」(同社)考え。生産能力引き上げに伴い、14年度には機能性粉金属粉末の売上高20億円(12年度見通しは9億円)、粉末事業全体で売上高90億円(同60億円)を目指すとしている。