東京ガスが、集合住宅向けの家庭用燃料電池「エネファーム」を2013年後半に発売することが31日、分かった。これまでは戸建て向け機種だけで、マンション各戸に設置できる製品は業界初。東日本大震災後の電力不足で節電意識が高まるなか、普及に拍車がかかりそうだ。
東ガスが開発を進めているマンション向け新機種は、ガスや水道などの配管が集まるパイプスペースに収納できる小型のもので、新築分譲時にあらかじめ備え付ける形で販売する。1台当たりの導入コストは、国の補助金などを含め200万円近くかかる現行機種と同水準か、それ以下に抑える。
エネファームは都市ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応で発電し、同時に出る温水を給湯にも利用する。標準的な家庭で光熱費を年5万円程度削減でき、国も普及を後押ししている。
震災後は急速に販売台数を伸ばしている。国の補助金事務を代行する燃料電池普及促進協会によると、11年度の補助金申込件数は前年度比3.6倍の約1万8000台で、今年度はさらに増える見通しという。