日本貿易振興機構(ジェトロ)が23日発表した「在アフリカ進出日系企業調査」によると、多数の日本人犠牲者がでたアルジェリア人質事件がおきる以前の昨年10月時点で約87.8%の企業がアフリカにおける経営上の問題点として「政治的・社会的安定性」をあげていたことが分かった。2007年度の前回調査に比べ15.7ポイント増加した。
ジェトロは「中西部には国内を統治掌握できずに武装集団が潜伏するマリやチャド、ニジェールなど政治リスク国がある」と指摘。その上で、各社とも警備会社の採用など治安対策を講じてきたものの「今回のような国境を越えて活動する国際テロ組織への情報収集が不十分との教訓を突き付けられた」(的場真太郎中東アフリカ課長)と分析した。
今回の事件を受けて数社にヒアリングしたところ、「ビジネスは粛々とやらざるを得ない」との声があった。リスク再評価などで一時的な冷え込みはあっても、成長市場を考えると事業撤退は限定的で、多くの企業は事業を継続するとみている。