米航空業界3位で経営再建中のアメリカン航空の親会社AMRと5位のUSエアウェイズが合併に合意し、世界最大の航空グループが誕生することになった。合併で国際的な勢力図に変化が生まれ、日本の航空会社にも影響を及ぼす可能性がある。
アメリカン航空は日本航空が参加する国際航空連合「ワンワールド」の中核メンバーで、日航とは太平洋路線の共同運航を行うなど提携関係にある。一方、USエアは全日本空輸が参加する「スターアライアンス」に加盟しているが、合併後もアメリカンはワンワールドにとどまる一方、USエアはスターアライアンスから脱退するとの見方が浮上している。
USエアがワンワールドにくら替えすれば、日航にとって「日本から米国に飛んだ後の乗り継ぎで選択肢が増えるプラス面がある」(野村証券の広兼賢治アナリスト)。逆にワンワールドからアメリカンが抜ければ「スターアライアンスの勢いが世界的に増す」(杉浦一機・首都大学東京客員教授)ことで、全日空には有利に働きそうだ。
日本勢の競争力低下を危惧する声もある。米国の大手は3社に集約され、企業規模は日航と全日空をはるかにしのぐ。航空経営研究所の牛場春夫取締役副所長は「欧州や南米でもメガキャリアが誕生しており(日本の2社は)太刀打ちできなくなる」と指摘する。