東芝の新社長に就任する田中久雄副社長=26日、東京都港区【拡大】
2月上旬に社長就任を打診され、重責に身が引き締まる思いだったが、「全力で頑張ります」と応じた。西田厚聡(あつとし)会長は「謙虚で、どんなに苦しい環境でも決めたことを実行する意思がある」と評する。
海外駐在経験が14年を超える国際派。先進国だけでなく、新興国も経験したのが強みだ。印象に残るのは2000年の英国赴任。赤字続きのテレビ工場を1年で立て直すよう命じられた。
学んだのは「日々の対話を通じて、課題を共有し、全員で改革を進めること」。人手不足の際は自ら組み立てに携わり、約10カ月で黒字転換させた。
国内電機メーカーの中では業績は好調だが、海外企業には見劣りし、環境配慮型都市「スマートコミュニティー」など新規事業の収益化も途上だ。会見では成長事業の育成やグローバル企業としての進化などを「責務」に掲げ、「東芝ブランドが光り続けるようにしたい」と決意を述べた。
血縁関係はないが、氏名が東芝の創業者で「江戸時代のエジソン」と呼ばれた田中久重氏と1字違い。自らは経営者として海外も含め約21万人に膨らんだグループのかじを取る。
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東芝は26日、田中久雄副社長(62)が社長に昇格し、佐々木則夫社長(63)が副会長に就任する人事を発表した。西田厚聡会長(69)は留任するが、来年6月の株主総会後に相談役に退く方針。
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【プロフィル】田中久雄氏
たなか・ひさお 神戸商科大(現兵庫県立大)卒。1973年東京芝浦電気(現東芝)入社。執行役専務などを経て、2011年6月から取締役代表執行役副社長。兵庫県出身。