新日鉄住金、年2000億円収益改善 中計概要、高炉休止は16年3月末までに

2013.3.14 05:00

 新日鉄住金は13日、2013~15年度で年間2000億円以上の収益改善を図る中期計画の概要を発表した。この一環として、16年3月末までに君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉1基を休止。さらに、圧延などの川下の加工ラインの休止なども進め、合併によるコスト削減を加速する。

 中計に盛り込まれる生産体制の整理では、君津の高炉休止に加え、和歌山製鉄所(和歌山市)で今月中にも予定していた新高炉の稼働を当面、延期。これに加え、鹿島、和歌山、名古屋、君津の各製鉄所で圧延関連など川下の加工ラインについて、13~14年をめどに順次、休止する。

 君津製鉄所では残った2基の高炉の稼働率を上げるなどして、粗鋼生産量などは維持する方針。雇用についても、所内の別の部署への異動を中心として維持する方針だ。

 中計ではこのほか、国際的なコスト競争力を高めるため、現地生産など海外の現地企業と連携を深め、世界戦略を強化することなども掲げた。

 すでに着手している資産圧縮については、3年間で3000億円程度としたほか、年1000億円程度の設備投資を進めることで、「総合力世界ナンバーワン」を目指すとしている。

 同日、都内で会見した友野宏社長は「昨今の経営環境の激変ぶりから、売上高を目標に経営を考えるのは現実的ではない」と説明。売上高目標を設定せず、売上高に対する経常利益率(ROS)を15年度までに最低でも5%程度に高めることを掲げた。

 合併前の12年4~6月期の旧新日本製鉄のROSは1.0%まで落ち込んでいたが、競争力強化や海外事業の拡大などで目標の実現を目指す。

 事業環境については、日本の鉄鋼需要が今後も年6000万トン前後で横ばいになるとみられるほか、中国などで新たな製鉄所の稼働が見込まれることから、「東アジア市場での競争環境は今後も厳しい」(友野社長)との見方を示した。

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