資生堂の末川久幸社長(54)の体調不良を理由とした退任を受け、4月から急遽(きゅうきょ)社長を兼務する前田新造会長(66)は、自らが作り上げた仕組みも含めた“負の遺産”の解体に挑む。同社は、2桁成長が続いていた中国事業が昨秋の日中関係悪化の影響で失速したうえ、国内化粧品事業の売上高も減少の一途をたどるなど内外に課題を抱える。自身の再登板を「緊急避難的対応」と強調する前田氏が、「自己否定」を恐れない大胆な改革を急ぎ、新たな成長路線を次世代に託せるかが問われている。
自己否定も辞せず
「かつて自分がやってきたことを否定することも出てくるのではないか。でも、それも覚悟を持ってやっていく。信念を持ってやる」
3月11日、東京・東新橋の資生堂汐留オフィス。トップ交代会見で、構造改革の方針について問われた前田氏は決意をにじませた。