祖父母から孫への教育資金の贈与が非課税になる国の措置が来月導入されるのに合わせ、信託銀行各社は新商品や人材強化に注力している。“目に入れても痛くない”孫への資金譲渡を機に、相続対策の裾野が富裕層から一気に広がるとみているためだ。大手銀行の信託業務への本格参入もあり、今後、顧客の奪い合いは激化しそうだ。
信託各社は、早ければ4月にも新商品「教育資金贈与信託」を発売する。「信託銀行の新商品としては久しぶりに大きな反響」(信託協会会長の北村邦太郎・三井住友トラスト・ホールディングス社長)があり、顧客獲得の絶好の機会だ。信託銀の顧客の平均年齢は60代以上と高齢化しており、新商品をテコに若い世代を取り込む狙いもある。
三菱UFJ信託銀行では教育資金贈与に関する専用ダイヤルの相談件数が、多い日で1日100件以上にのぼる。新商品はグループの三菱東京UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の顧客も利用できるよう準備中で、グループの顧客基盤を活用する方針だ。教育資金贈与信託を機に、相続など関連商品を提案できるよう、資産運用や相続、不動産などに精通する行員を今後2年で2倍の300人に増員する。