電力各社の経営を圧迫している火力燃料費がさらに上昇することで、再値上げを模索する動きが加速しそうだ。原発の再稼働が進むまでは抜本的な経営改善は見込めず、国内の企業活動に悪影響が及ぶ可能性がある。
「燃料調達コストを、一定程度国民が負担することは避けられない」。電力需給検証小委員会の報告書案では、燃料費の増大に強い懸念が示された。
電力各社は通常、液化天然ガス(LNG)や原油などの価格変動を「燃料費調整制度」で毎月の電気料金から回収している。ただ、火力や原子力などの電源構成はあらかじめ決めてあるため、東日本大震災以降、停止した原発の代わりにフル稼働している火力発電の燃料費は対象外だ。円安で輸入価格が上昇すればその分、コストが増大する。
値上げを決めた電力会社は電源構成を一度見直しているが、原発の再稼働が予定通り進まなければ、火力発電で代替せざるを得ない。