構造改革“道半ば”
平井社長はスマホ中心の「携帯機器」、デジカメなどの「映像機器」、そして「ゲーム機」の3部門を重点分野に据える。一方、赤字が続くテレビ事業の“止血”は喫緊の課題だ。
4月11日、画像の高精細さが売りの「4K」液晶テレビの新製品発表会見。テレビを担当する今村昌志業務執行役員は、新商品を武器に「今年度の黒字化に自信がある」と強調した。
5月9日に発表する25年3月期の連結決算では、最終損益は200億円の黒字となる見込み。実に5年ぶりの黒字化だ。堅調な金融や音楽、映画部門が収益を下支えする構図だ。
ただ、かつては稼ぎ頭だったテレビ事業は、25年3月期まで9年連続で赤字が続く。26年3月期は高画質や大画面などで商品力を高め、反転攻勢に出る。
社長経験者の中鉢良治副会長は3月末で退任。ハワード・ストリンガー取締役会議長も6月に開く株主総会で退任する意向だ。SMBC日興証券の白石幸毅シニアアナリストは「ストリンガー、中鉢両氏の退任で、平井社長が完全に経営を握る態勢が整う。その分、26年3月期は結果が求められる」と指摘する。ソニー復活に向け、平井社長の真価が問われる1年になる。(大柳聡庸)