■暮らしの足元を見つめて ごみ分別意識高める工夫
「豊中伊丹スリーR・センター」の愛称を持つ大阪府豊中市のリサイクルプラザは「環境の街」を目指す豊中市と兵庫県伊丹市の狙いを体感できる場所の一つといえる。「スリーR」はリデュース(減少)、リユース(再使用)、リサイクル(再利用)の頭文字から命名。金属やガラスなどの不燃ごみ、ペットボトルやプラスチック製容器包装などのごみを資源化する最先端の処理施設は「森の中の再生工場」を基本コンセプトに掲げている。
大阪空港からほど近く、猪名川沿いの緑に囲まれた敷地内に昨春完成した近代的な建物には「迷惑施設」の印象はまるでない。老朽化した前施設では30%程度だったリサイクル率を、50%以上に向上させるために施設を更新。日立造船が建設し、同社グループが出資した特定目的会社が運営する。
施設内の見学コースを進むと、積載容量約2トンの収集車が次々とピットにごみを搬入する様子が目に飛び込んできた。それを5本の巨大な爪を持つ大型クレーン(全長約6メートル)が、無造作につかみ上げる迫力満点の様子がガラス越しに見える。
豊中、伊丹の両市で集められる資源ごみはここで圧縮、梱包(こんぽう)などの下処理され、専門業者に引き取られていく。
中央制御室兼クレーン操作室では、職員がモニターを見ながら運転に集中していた。「ここでは1日で最大134トンを処理します。ゲームみたいで、見学の子供たちに人気があるんです」とにこやかに話す。
続いて案内された部屋では、ベルトコンベヤーで流れてくる資源ごみを手作業で分別する作業風景を見学。口を衛生マスクで覆い、分厚い手袋をはめた作業員たちがキビキビとした動きで汗を流していた。