東京電力の経営再建計画「総合特別事業計画(総特)」が政府の認定を受けてから、9日で1年が経過する。最大の懸案である柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は見通しすら立たず、代替する火力発電の燃料費が経営を圧迫している。このままでは2014年3月期決算で予定する黒字転換は困難。東電は今夏以降、総特を大幅に改訂する方向で検討している。
「相当な覚悟で取り組まなければ黒字化は難しい」。東電の広瀬直己社長は総特の進行が遅れていることに危機感を隠さない。
総特で掲げた主な再建策のうち、家庭向け料金値上げの開始時期は昨年7月から9月に遅れたが、何とか実施できた。人件費削減や資産売却などのリストラも順調だ。ただ、原子力規制委員会の新安全基準策定の遅れなどが響き、柏崎刈羽原発は今年4月から順次再稼働するはずだった予定が崩れ去った。