帝人が9日に発表した2013年3月期連結決算によると、最終損益は前期の119億円の黒字から、291億円の赤字に転落した。大幅な営業減益に加え、炭素繊維や米在宅医療子会社の買収などに伴うのれんの価値を引き下げる減損処理を実施したため。今期(14年3月期)は黒字回復をめざす。
前3月期の売上高は12.7%減の7457億円、営業利益は同63.7%減の123億円。主力の高機能繊維分野において、アラミド繊維が米国の防弾・防護用途で低調に推移するなど、欧米での低迷に加え、新興国の景気減速も響いた。
今期の売上高は11.3%増の8300億円、営業利益は約2倍の250億円、最終損益は80億円の黒字転換を見込む。
世界的に緩やかな景気の持ち直しを見込み、米国のシェールガス革命の進展に伴う圧力容器向けの炭素繊維の販売拡大も期待する。しかし「当面はグローバル経済全体で低成長レベルが続く」(園部芳久CFO)とみて、自力での収益力強化に向けて、人員削減を含めた事業構造改革を実施。高機能繊維・複合材料部門や電子材料・化成品部門、在宅医療部門で14年3月期中に300人以上の人員削減を予定する。