鉄鋼大手3社の2013年3月期連結決算が10日、出そろった。中国の景気減速などに伴う市況の悪化などから3社とも営業減益を余儀なくされ、JFEホールディングス(HD)を除く2社は最終赤字となった。14年3月期は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」効果を支えに収益を伸ばすとともに、原料価格上昇分の製品価格への転嫁やコスト削減に取り組む構えだ。
最大手の新日鉄住金が同日、経営統合後初の通期決算を発表。旧新日鉄の業績と比べるとわずかに増収となったが、営業利益は大幅に減少。保有する旧住友金属工業の株式を合併前に売却して評価損を計上したことが響き、最終赤字に転落した。
神戸製鋼所は2年連続の最終赤字。鉄鋼事業の収益が悪化し、牽引(けんいん)役の建設機械も中国の景気減速で利益が減少した。唯一、最終黒字を確保したJFEHDは、昨年10月に完全子会社化したJFE商事ののれん償却益が利益を押し上げた。
14年3月期の見通しについて新日鉄住金とJFEHDは、鋼材や主原料の価格交渉中のため見極めが困難として、公表を見送った。アベノミクス効果は「素材産業での実感は遅い」(JFEHDの岡田伸一副社長)との声も上がった。収益改善に向け、新日鉄住金は14年3月期に「統合効果と合わせて1500億円」(太田克彦副社長)のコスト削減を計画している。