再生可能エネルギーをめぐる通商摩擦が世界規模で激しくなっている。太陽光発電の政府支援などをめぐり、世界貿易機関(WTO)への提訴や貿易相手国への課税強化の動きが相次ぐ。成長分野の再生エネ市場の競争激化が背景で、各国がなりふり構わず保護主義に傾いている。
WTOの1審にあたる紛争処理パネル(小委員会)でも再生エネに関する紛争案件が近年増え、全体の1割前後を占めている。日本と欧州連合(EU)が訴えたのは、カナダ・オンタリオ州での太陽光や風力の発電による電力を固定価格で買い取る制度。
同州で生産された設備を用いる条件のため、外国企業が受注できないとする日欧の主張を、WTOの最終審にあたる上級委員会は6日、ほぼ全面的に認めた。WTOが再生エネ分野で自国優遇措置を協定違反と認定するのは初のケースだ。