東京電力と中部電力が石炭火力発電所を共同建設する方向で調整していることが22日、分かった。東電の常陸那珂火力発電所(茨城県)に出力約60万キロワットの発電設備を新設する。中部電が事業費の大半を出資し、発電量の一部は首都圏で販売する見込みだ。電力会社の営業区域をまたいだ電力小売りは現在ほとんど行われておらず、両社の取り組みは「地域独占体制」に風穴を開ける可能性がある。
東電は計260万キロワットの電力を東電に供給する事業者を選ぶ入札を2月から実施しており、24日に締め切りを迎える。福島第1原発事故の賠償などで経営が悪化する中、外部資金を活用して発電コストを抑えるのが目的で、中部電は東電と組んで応札する方向だ。
両社は共同出資で火力発電所を運営する特定目的会社(SPC)を設立し、発電した電力を両社に販売する。出資比率は中部電が9割程度になる見通し。石炭火力は石油や天然ガスを使った火力発電と比べて燃料コストが安く、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に抑える最先端の設備導入を想定している。早ければ2019年にも稼働させる。