岩手県伝統の「南部鉄器」が脚光を浴びている。新業態の南部鉄器料理店が繁盛する一方、パリのカフェから広がった南部鉄器ティーポット(急須)の人気が日本に逆輸入。また、岩手県のアンテナショップでは、南部鉄器の調理道具や鉄瓶を求める国内外の客でにぎわっている。(重松明子)
黒く重い南部鉄器のフタを開けると、香ばしい鶏肉とハーブのにおいが立ち上る。肉にかじり付くと柔らかく、凝縮したうまみがジュル~。鶏一羽を焼いた清流若鶏のローストチキン(1980円)をはじめ、日本各地の食材を南部鉄器で調理・提供して人気なのが、JR神田駅近くに昨年11月に開店した「東京オーブン」という店。
「熱伝導や蓄熱性に優れ、肉の表面を一気に焦がせてうまみを閉じ込める料理が可能。良い素材を丁寧に下ごしらえして、シンプルかつ豪快に提供するのに南部鉄器はピッタリ」と、同店を経営するテンプルボーイの渡辺真祐社長(34)。