■低価格志向と健康・安全志向
≪MARKET≫
スーパーマーケットなどの小売店での国内パン市場は、少子化により長期的には縮小傾向とみられているが、この5年ではほぼ横ばいで推移している状況だ。パンが日本人の食卓に定着して長いこともあり「パン食で育ってきた高齢者が増加している」(矢野経済研究所)という。
同研究所によると、2011年度のパン市場規模は約1兆3810億円。13年度予想は1兆3791億円。内訳は菓子パンがもっとも多く4割超、続いて食パンが2割程度となっている。以前は、メロンパンやあんぱん、クリームパンなどでヒット商品が出たものの、ここ数年は大きなヒットが生まれていない。
販売経路別では、量販店が30.9%と最も多く、コンビニエンスストアが26.3%、ベーカリー(パン専門店)が27.2%。コンビニが菓子パンの市場を広げる一方、量販店では「主婦需要が多いため、低価格志向と健康・安全志向の2つの潮流がある」(矢野経済研究所)という。
量販店の主力商品になる食パンは小売チェーンが自主企画販売する、プライベートブランドによる低価格商品が定着している。これに加え長引くデフレの影響もあって、平均価格もじりじり下がり、敷島製パンは「100~110円程度」とみている。