次世代ハイビジョン放送の実現は、韓国や中国メーカーとの競争激化で世界でのシェアを落としてきた日本の電機メーカーにとって、国際競争力の回復につながる救世主となる可能性を秘める。
世界に先駆けて放送が始まることで日本の放送・映像制作技術の優位性をアピールし、世界中の放送局で「4K」や「8K」対応の放送・映像制作機器の採用が進むことが見込める。さらに、汎用(はんよう)化で価格の下落に苦しむ薄型テレビの国内販売の収益回復にも追い風になるとの期待が膨らむ。
「感情を揺さぶり、感動を増幅させる高精細・大画面の映像を、家庭で楽しんでいただける世界を実現したい」。業務用カメラからテレビまで手がけるソニーの平井一夫社長が4Kにかける熱意は、並々ではない。
ブラジル東部の都市ベロオリゾンテのミネイラン競技場。同社は15日(日本時間16日)に開幕したサッカーのコンフェデレーションズカップに合わせ、10人近い技術者を送り込んだ。4K対応の業務用カメラ6台やモニターを持ち込み、3試合の試験撮影を実施。4K対応では、これまで以上に厳密さが求められる焦点の合わせ方やカメラワークの方法をテストする。