日立製作所はロシアでインフラ事業を強化する。エネルギー関連施設向けの送電事業で新たに150億円の売上高を目指すほか、建機工場の増産も検討する。経済成長で電力や鉄道関連需要が高まるなか、現地企業との積極的な提携を通じて事業基盤を拡大。現在、グループ全体で売上高が500億円規模のロシア事業の拡大につなげる。
日立は現在、ロシアで建設機械や電動工具、ガスタービンなどインフラ関連を中心に7つの子会社で事業展開。特に受注の柱と期待するのがエネルギーの送配電網だ。ロシアの電力流通市場は年5000億円規模と日立は試算しており、需要取り込みに向け同分野大手のロシア・グリッドと提携。変電所の省エネ化など送配電網を効率化するシステムを売り込み同事業で2020年に150億円規模の売上高を狙う。
医療機器も強化する。粒子線を使いがんに照射する治療機器分野で4月にロシア市場に本格参入。1台当たり50億~60億円の機器で年3台程度の受注を狙う。建機事業では年内に年産2000台の油圧ショベル工場が稼働するが、将来は能力増強も視野に入れている。(モスクワ 今井裕治)