冷房による電力需要が増える夏。原子力発電所の停止は長引いており、今年も火力発電所頼みだ。しかし東京電力福島第1原発事故以降、火力発電所トラブルの発表件数が増えている。火力発電所が1基か2基でも止まってしまうと、危機的状況に陥る関西で、電力不足による大規模停電「ブラックアウト」の危険性はないのだろうか-。
頻発するトラブル
ボイラー出口配管からの蒸気漏れ、計器用変圧器故障、復水器真空度低下、排煙脱硝装置株の赤熱…。
関西電力が今年に入って発表した火力発電所のトラブルは10件以上。運転を数日間から2週間ほど停止し、補修して再開してきた。
これに対し、東日本大震災前の1年間では、トラブルによる火力発電所の停止件数は、わずか2件(赤穂発電所2号機、南港発電所3号機)だった。
震災後は、国内のほとんどの原発が停止し、その“穴”を埋めるため、関電管内の火力発電所はほぼフル稼働を余儀なくされているが、「そもそも火力はこんな使い方をするものではない」(電力業界関係者)という。