米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズが快走している。品質問題などトラブル続きの時代もあったが、提携するトヨタ自動車の支援もあって創業10年の今年、悲願の黒字化を果たし、政府融資も完済。株価もうなぎ上りで、大手の一角に食い込む勢いだ。
「長く苦しい期間、チャンスを与えてくれた消費者と投資家には、ただ感謝の言葉しかない。そのおかげで今のテスラがある」
テスラが今年5月に政府融資を当初計画より9年も前倒しで完済した際、創業者のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、ツイッターでこう振り返った。
実際、テスラのこれまでの道のりは平坦(へいたん)ではなかった。電子決済大手ペイパルの創業者でもあるマスク氏がテスラを設立したのは2003年。異業種のIT界からの参入で話題を呼んだが、開発・製造が遅れ、資金繰りも悪化。従業員の大量解雇も経験した。マスク氏は巨額の個人資金をつぎ込む一方、08年からは自らCEOに就任して経営の立て直しに奔走した。