NECは31日、子会社のNECカシオモバイルコミュニケーションズ(川崎市)が手掛ける携帯電話事業について、採算が悪化していたスマートフォン(高機能携帯電話)の開発・製造から撤退すると発表した。中国のレノボグループとの携帯事業の統合交渉が決裂した。海外勢に国内市場も侵食された国内携帯電話メーカーの苦境ぶりが鮮明となった。
スマホの新規開発を31日付で中止した。現在販売中の機種で生産・販売を終了する。タブレット端末は継続し、従来型の携帯電話も需要が見込めるとして続ける。従来型携帯の生産は、グループのNEC埼玉(埼玉県神川町)で続ける。スマホの修理なども継続する。
NECカシオはスマホの販売台数が落ち込み、2013年4~6月期の営業損益は90億円前後の赤字だったという。約900人の従業員は、配置転換し約150人に縮小する。
米アップルや韓国サムスン電子といった2強に加え、中国メーカーも急速に台頭。NECは海外市場で存在感を示せなかったうえに、虎の子の国内市場でも競争力を失っていた。