東北電力は25日、最後に残されていた宮城県石巻市の長面(ながつら)地区と尾崎(おのさき)地区で送電線の敷設工事を行う。東日本大震災から2年5カ月、東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域を除く被災地全域にようやく電気が届けられることになる。
北上川の河口に隣接する長面・尾崎両地区は震災による津波で甚大な被害を受け、地区全体が水没した。その後、地元自治体は排水作業や道路の応急復旧などを進めてきたが、電気はとまったままだった。
現在、地場産業である養殖カキの処理場や民宿などの再建が一部で進んでいる。ただ、石巻市から居住が認められない「災害危険区域」に指定され、全壊を免れた家屋の住民も帰還のめどが立っていない状態だ。
25日には東北電力と子会社からあわせて約150人が作業に当たり、残り約4キロメートルの区間で電柱に電線を敷設。同日中に長面・尾崎両地区合わせて13戸の契約者を対象に送電準備が整う見込みだ。