三菱航空機の川井昭陽社長(左から2人目)ら幹部。手前は開発中の小型ジェット旅客機MRJの模型=8月22日午後、東京都港区の三菱重工業品川本社ビル(小野淳一撮影)【拡大】
三菱重工業と傘下の三菱航空機はMRJの3度目の納入遅れを表明し、社運をかけたプロジェクトは再び試練を迎えた。ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアの寡占状態である100席以下の小型旅客機市場は、ロシアや中国の企業も名乗りを上げ、競争が激化している。今回示した新スケジュールに遅れを出せば、受注争いで致命傷を負いかねない。
「何をやればいいのかは分かっていたが、それをどうやって実現するかに戸惑いがあった」。記者会見で三菱航空機の川井昭陽社長は、民間機開発の経験不足が今回の開発遅れを招いたことを認めた。
同社によると、航空機の型式証明を取得するために必要な安全性を担保するプロセスに不備があり、装備品メーカーなどと交渉し、スケジュール変更を余儀なくされたという。
川井社長は「高い安全性と性能を備えた航空機の開発を確実に推進することを最優先に、時間をかけて装備品仕様を詰めた結果、装備品の製造開始・納入時期が遅れた」とし、安全性確保が遅れの理由であることも強調した。