マンションの建て替え戸数【拡大】
不動産大手各社が、老朽化したマンションや団地の再生事業を加速している。居住者の間に、高齢化に伴うバリアフリーへの要求や東日本大震災を契機とした耐震性能への不安が高まっていることが、建て替え需要拡大の背景にある。既存建物を対象とするストックビジネスの強化は、各社共通の課題。このため建て替え事業に弾みがつくことが期待されるが、居住者の合意形成が進みにくいというハードルもあり、事業をどこまで拡大できるかは未知数だ。
災害に強い構造
高度成長期の先進的な住宅として知られ、富裕層の間で人気が高かった桜上水団地が東京都世田谷区に誕生したのは、1964年の東京五輪の翌年。それから約半世紀を経て、居住者の高齢化が進んだが、この団地にはエレベーターさえなく、生活に大きな支障をきたすようになった。
耐震性への不安も募り、居住者が建て替えを決意。野村不動産と三井不動産レジデンシャルが団地再生プロジェクトに乗り出した。17棟404戸の建物を解体し、9棟878戸を建設。敷地面積は4万7000平方メートルと、23区内では最大規模となる。免震構造とするなど災害に強いマンションに再生する。