■油なく低塩、多様な使い方知って
--日本ソース工業会が取り組んでいることは
「ソースは江戸時代の末期に輸入され、メーカー各社にはそれぞれの歴史や思い入れがあるが、ソースに対する愛着はみな同じだ。日本の食卓に洋食を根付かせたのはソースの力も大きい。ソースをもっと広めたいと設立された工業会は今は一般社団法人で、全国のメーカー84社で構成している。設立日の11月7日を『ソースの日』に決め、今年は東京・大手町のKKRホテル東京でイベントを開く。料理研究家の講演やレシピコンテストなどを、みなさんに楽しんでもらいたい」
--ソース市場の現状は
「生産量は1996年度をピークに減少傾向だ。食生活の多様化に加え、ヘルシー志向で揚げ物が敬遠されがちになったのが大きい。だが野菜や果実に加え、さまざまな香辛料と食酢を主原料とするソースはノンオイルで塩分の少ない総合調味料だ。炒め物や煮もの、隠し味に使えて、汎用(はんよう)性が高い。サンマの身も開いて小麦粉とソースをつけて焼けばおいしいかば焼きが簡単にできる。ソースは、さまざまな使い方ができることを知ってほしい」
--ソースには地域特性もある
「食は風土に関係するため東京、大阪、広島、福岡と地方ごとに使い方や味が違う。ソースは文化だ。いろいろなメーカーや地場の産業が競い合い、消費者が幅広い中から商品を選べる方が食は楽しくなる。来年は各地でソースの日のイベントができるといい」
--会長としての目標は
「安全で安心な製品を消費者に提供するため、表示方法などで加盟社の情報がスムーズに伝わるようにしたい。それから、とんかつやコロッケなどを日本の味としてアピールしたい。食べることは生きること。ダイエットなんてもったいない」
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【プロフィル】池田章子
いけだ・しょうこ 実践女子短大卒。1964年ブルドックソース入社。常務を経て2000年から社長。就任後に表面化した米企業による敵対的買収を退けた。11年5月から日本ソース工業会会長。山形県出身。