■きっかけづくりのキーマン探せ
--トップ営業マンとして不安とは無縁の日々だった
「そんなことはありません。今日は売れても明日は売れないのではないかという、恐怖心は常にあります。丸紅モータースでは入社当初、7カ月間は全く売れませんでした。担当エリア内のビルを上から下まで訪問しても、売り上げはゼロ。この苦い経験は今も忘れられません」
--初めて売れたときは
「会社に戻ると、初めて接客するお客さまが栃木県から来店されていました。フォードの『マスタングIIギア』を購入していただきました。お客さまはもちろん、所長や先輩が何も言わずに7カ月間、温かく見守ってくれたのもありがたかった。その後、必死で飛び込み営業をした結果、1件また1件と案件が上がるようになりました」
--印象に残っている案件は
「当時で700万円台の『リンカーン』が売れたことです。営業でうかがっていた会社の運転手さんから『社用車の買い替えが近々あるから、見積もりに参加したら』と勧められたのがきっかけでした。自動車のことを一番よく知っている運転手さんと仲良くなることが重要だと感じ、顔を毎日出してコミュニケーションをとっていました。このときから、飛び込み営業の際には『きっかけづくりのキーマン』を必ず探しています」
--恐怖心を解消する方法は
「一人でも多くの方に会うようにしています。営業の仕事は人と会うことから生まれるので、安心するのです。営業のバイブルの一つ、『私はどうして販売外交に成功したか』(フランク・ベドガー著)にも『できるだけたくさんの人に会うこと』と書かれています」(ライター 金田雄一)
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(編集協力)近代セールス(www.kindai-sales.co.jp)
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【プロフィル】飯尾昭夫
いいお・あきお 青学大経営卒。丸紅モータース、日英自動車を経て、1984年BMWジャパン入社。BMW車の販売で日本一の営業マンとなり、累計販売台数は2400台以上。現在は自動車販売コンサルティング会社の飯尾カンパニー代表取締役。