セーラー万年筆は、紙媒体にタッチすると多言語対応で音声情報が流れるペンを用いた観光支援事業を本格展開する。デジタルサイネージ(電子看板)を手がけるエムビジュアル(東京都文京区)と提携。音声ペンと電子看板の組み合わせで観光客を誘導する、新たな取り組みを始める。2020年東京五輪の開催が決まったこともあって、今後、訪日外国人が増えることが見込まれており、平成27年度までに全国100カ所の観光地での普及を図る。
全国展開に当たっては、JTBグループとも連携し、各地の観光協会や地方自治体に向けて、電子看板と音声ペンを融合した観光支援サービスの導入を促す。具体的にはホテルや観光協会を通じ、1日当たり500円で音声データが再生されるペンをレンタル。観光客を電子看板に誘導したり、行政サービスや災害の情報発信も行う。
すでに九州や四国など10カ所以上の自治体などから引き合いがある。27年度には200万人の利用を見込んでいる。
音声ペンは、パンフレットや地図などの紙媒体に印刷したコードをペン型のスキャナーでタッチすると音声データが再生される仕組み。日本語のほか中国語や韓国語、英語などにも対応している。これまで岩手県平泉町の中尊寺や日光東照宮などにシステムを納入しているほか、語学学習としても活用されている。
今後はフランス語やタイ語にも対応できるペンの開発を進めるほか、香港やシンガポールなどアジア市場でも、日本人観光客向けに同様のシステムを展開する計画だ。