天然資源のない日本が、これからも“モノづくり大国”として継続していくためには、リサイクル材の有効活用は必須。石油を原料とする樹脂材料は特にである。
こうしたなか、サントリーホールディングスやトヨタ自動車は専門技術を持つ中小企業と協業することで、再生樹脂の製品への使用量を高めている。
サントリーは2011年、回収した使用済みペットボトルをリサイクルして新たなペットボトルにすることを国内で初めて実用化した。原料であるPET樹脂を低コストで再生する「メカニカルリサイクル」と呼ぶ技術を、樹脂の再生加工・販売を手掛ける協栄産業(栃木県小山市)と共同開発したのだ。
11年5月、主力商品の一部に導入。当初は再生PET樹脂の使用比率は50%だったが、翌12年4月には同100%にするボトルを完成させる。石油由来原料100%の従来ボトルと比較すると、「製造時を含むCO2排出量は83%削減できた」(サントリー幹部)と話す。
わが国では毎年、使用済みペットボトルが約60万トン排出され、本来なら、容器包装リサイクル法により自治体が回収し、国内で再利用される。ところが、国内で再利用されるのは20万トンほどで、約40万トンは主に中国に輸出されてしまう。有名ブランド衣料などの原料として中国工場で使われるためだが、容リ法での入札価格よりも高く取引されるケースは多い。日本のペットボトルは、高品位な原料として当てにされているのだ。