■「ニーズ吸い上げる積極性、日韓の差に」
車載用リチウムイオン電池市場は、今後、日本が何としてでも世界をリードしたい分野だ。韓国サムスンSDIの電池事業を成功に導き、改めて日本でリチウム電池再興に貢献しようと奮闘するエスペック上席顧問の佐藤登氏。自らが経験した韓国企業の強み、そして、日本企業の進むべき道を聞いた。
--サムスンSDIに移った経緯は
「2004年にサムスングループ副会長も務めたキム・スンテク社長(当時)から誘いがあった。エネルギー研究開発全般の陣頭指揮を任せてもらえるということで、4カ月考えて韓国行きを決めた。当時、リチウム電池の世界シェアは、1位が三洋電機(現・パナソニック)、2位ソニー、サムスンSDIは4位だった」
--どうやってサムスンSDIを世界シェア首位に押し上げたのか
「韓国に移って真っ先にしたのは、日本の電池部材メーカーとの関係改善だ。部材メーカーを“下請け”として扱う意識を捨てさせ、パートナーとしてつき合うよう変化を促した。マーケティング部門や開発陣は、顧客に電池サンプルを積極的に評価してもらい、求める水準に達するよう改善を続けた」
--実際に経営に携わって感じた韓国メーカーの強みは
「日本のように高価格の上級品に傾注する戦略ではなく、中級から廉価品も含めて柔軟に対応できる点にある。開発途上の生煮えのサンプルでも相手メーカーに持っていって、ニーズを吸い上げるという積極性が、開発スピードで日本勢との差につながっていると感じた」
--日本勢はなぜ負けたのか
「部材メーカーがサンプルを納めてもフィードバックがない、良い結果が出ても採用の判断をなかなかしない、といった声が耳に入ってきた。(韓国にいる間は)日本の電池メーカーが勢いを失いつつあるようにみえた」
--日本勢が勝つには
「電池メーカーと部材メーカー、装置メーカー、そして信頼性の高い試験・評価機関がそろうのは日本だけで、もっとその特徴を生かすべきだ。顧客ニーズに合った製品開発と徹底的なコスト低減も必要だ」