13日の東京外国為替市場の円相場が一時1ドル=103円92銭近辺まで下落し、2008年10月以来、約5年2カ月ぶりの円安水準となった。米国の景気回復期待を背景にドルを買う動きが強まった。市場では円安基調が続くとの見方が広がっている。
午後5時現在は、前日比80銭円安ドル高の1ドル=103円59~61銭。ユーロは62銭円安ユーロ高の1ユーロ=142円49~56銭。
米国では11月の就業者数や小売売上高が市場予想を上回るなど、景気回復を理由に量的金融緩和が早期に縮小されるとの観測が強まっている。このため米長期金利が上昇し、円を売りドルを買う動きが優勢となった。ユーロもドルにつられて対円で上昇した。
市場では円安基調が当面続くとの見方が多い。背景にあるのが日米の金利差の拡大だ。米国で量的緩和縮小が意識される一方、日本ではデフレ脱却のため、日銀が来年度にも追加緩和に踏み切るとの観測が強まっているからだ。
円安は海外での価格競争力を高め、輸出企業に恩恵をもたらす。同日の東京株式市場では、輸出関連銘柄が買われ、日経平均株価が4日ぶりに反発。終値は前日比61円29銭高の1万5403円11銭だった。
一方で円安は輸入価格の上昇につながる。輸出から輸入を差し引いた10月の貿易収支は1兆919億円の赤字と、10月としては過去最大だった。
野村証券は円相場について、(1)日本の貿易収支の赤字が続く(2)日系企業の海外投資が増える(3)日米の金利差が拡大することを背景に、14年度平均は1ドル=109円、15年度は115円の円安を予測する。木下智夫チーフエコノミストは「短期的な調整局面はあるが、中長期的には円安傾向が続く」と指摘している。