公認会計士のモラル低下が、目を覆いたくなるほどひどくなっているようだ。特に経営コンサルティング業務を手掛ける会計士の一部に深刻なモラルハザードを起こしている者もいて、証券犯罪の片棒を担いでいると非難されても仕方ないような業務に精を出す会計士もいる。コンサル業務と言えば聞こえはいいが、おおっぴらには言えない仕事が顧客企業から持ち込まれることも多いに違いない。
以前本コラムで、巨額ののれん代の会計処理に困ったオリンパスが、外部の経営コンサルティング会社に所属する複数の公認会計士に妙案はないかと相談していたと書いたところ、日本公認不正検査士協会の集まりでちょっとした話題になったと聞く。
公認不正検査士には公認会計士を兼ねている人材も少なくないから、会計士が不正会計の抜け道を指南していた公算が浮上したことに驚いた関係者もいたようだ。
ごく一部ではあろうが、実際にはモラルの荒廃ぶりはそれよりもはるかにひどい。
こんな例がある。ある会計事務所は資本不足に苦しむ企業に架空増資用のペーパーカンパニーを提供したり、怪しげなエクイティファイナンスに特化してアドバイザリー業務を数多くこなしたりと、やりたい放題だ。
この会計事務所が手掛けた数々のファイナンス案件に目を凝らすと、東証2部市場やジャスダック市場、東証マザーズ市場など新興市場に上場する銘柄のうち、財務内容が極端に悪化した企業の案件が多く、その件数はゆうに十指に余る多さである。しかもこれらのファイナンスでは、正体が分からない英領ケイマン籍の投資家が新株予約権などを繰り返し引き受けており、どれもまともなファイナンスには見えないのだ。しかもこの会計士は、投資詐欺が疑われて複数の訴訟を抱えている投資会社とも接点を持ち、いわゆる“反市場勢力”との結節点となっているようにしか見えない。