一方、東レが開発した有機薄膜太陽電池は耐久性が強みだ。これまで1年が限界だった寿命を10年に延長することに成功。さらに太陽光を電気に変えるエネルギー変換効率は10.6%と発電層が1層のみで構成される有機薄膜太陽電池で世界最高水準を達成した。製造コストは、太陽電池で主流のシリコン型の約3分の1になる見通し。
低炭素社会を目指す政府は、20年度までに全ての新築住宅・建築物を対象に省エネ基準の適合義務化方針を打ち出しており、太陽電池の需要拡大は確実だ。富士経済によると、太陽電池の世界市場は20年に出力ベースで12年比2.4倍の84ギガワット、金額ベースで1.4倍の3兆6035億円に拡大すると予測。20年の東京五輪開催が決まったことで、街の景観保護の意識も高まっており、デザイン性や利便性が高い薄型太陽電池の需要が盛り上がることも期待できる。