読者が選ぶ時代 版元の「戦略」不可欠
爆発的な普及はしていないが、電子書籍の市場は今年も着実に伸びた。専用端末以外のタブレット端末やスマートフォン(高機能携帯電話)の急速な普及により、裾野は広がっている。触れたことのない人がまだ多い一方、電子書店の選別、売れる本の選別は始まっており、出版社や電子書店には紙の書籍にとらわれない戦略が求められている。
キンドルが牽引役
インプレスビジネスメディアの調査によると、平成24年度の電子書籍の市場規模は768億円、今年度は1010億円に拡大すると予測する。この市場を牽引(けんいん)するのが米アマゾン傘下の電子書店「Kindle(キンドル)ストア」だ。
昨年、アマゾンの端末「キンドル」が上陸し、キンドルストアは11月で1周年を迎えた。アマゾンは紙の書籍に加え、電化製品からファッション、食品までをそろえる総合ショッピングサイトの販売力で電子書籍でも躍進。インプレスR&Dの調査によると、今年10月時点のキンドルストアの利用率は4月の調査よりも5ポイント以上伸び55・2%で、一極化の傾向が顕著だ。