JFEスチール社長・林田英治さん【拡大】
■いい一歩をいいスパイラルに
--昨年は円高是正もあり、業績が上向いた
「まだまだ不十分。一つの指標であるROS(売上高経常利益率)も目標の5%に届いていない。ただ前期に比べ改善されたのは事実。円高是正に加え、2012年度補正予算や経済対策などの効果で、製造業や建設が堅調に推移した。海外へシフトしようとしていた自動車生産が国内にとどまるなど国内需要は強かった。実際に土木や建築、自動車関連向け鋼材はフル操業が続いている」
--世界に目を向けると鉄鋼業は厳しい状況だ
「世界的な供給過剰で市況はなかなかよくならない。ただ欧州の金融危機も底が見え、米国経済も立ち直り、鉄鋼需要に底抜けするような怖さがなくなった」
--アジアの市況改善は今後、進むのか
「希望的に見ても3~5年はかかるのではないか。これは単にどこの国が作りすぎという問題ではなく、市場経済のメカニズムが働かない部分があるというのが根本的な問題だ。コストで採算が取れない部分は追いかけない。設備更新などで基盤を強化すれば、コストをもう少し下げることができ、今年はさらに販売量を増やせるだろう」
--鋼材などの価格が徐々に上がっている
「原材料のコストアップは価格に十分に反映されておらず、今後も顧客との交渉で是正を続ける。以前より需要家の理解も進んできた。原材料の価格上昇や為替変動などの影響を丁寧に話し、地道に努力するしかない」