□「スペラン」シリーズ
■高防滑性、快適な履き心地を実現
厳冬期の凍結した路面には、常に転倒の危険がつきまとう。外出には防滑性の高い靴が欠かせないが、床を傷つけるような靴底では屋内で履き替えなければならない。ムーンスターの「スペラン」シリーズは、高い防滑性と屋内でも違和感のない履き心地で人気を呼んでいる。
学校用の“上履き”で広く知られている福岡県久留米市のムーンスターは、創業以来140年を超え、ゴム靴を中心にさまざまな履物を製造している老舗メーカー。1958年に同社が製造し、日本の南極観測隊に寄贈した特殊防寒靴は、当時開発されたばかりの保温性の高い化学繊維“テビロン”を使ったインナーソックスを天然ゴム製の長靴に組み合わせたもので、その性能は海外観測隊からも高い評価を受けたという。
◆ヒントはシロクマの足の裏
そんなムーンスターが、凍った路面でも高い防滑性を持つタウンシューズ用ソールの開発に取り組んだのは80年代に入ってから。当時はピン付きのスパイクソールが主流で、氷雪面は問題なくても、雪のない通路や屋内では床面を傷つけるし、硬い床素材の上ではかえって滑りやすくなるという課題もあった。また、都市部において氷雪対策のインフラが整備されてくると、スーツなどにも違和感なく合わせられるデザインと高い防滑性を持つ靴が求められるようになってきた。