【知恵の経営】「人間第一主義」で好業績

2014.2.12 05:00

 □法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司

 名古屋駅から東海道線で大垣方面に30分ほど走った穂積駅から、さらにタクシーで15分行ったところに「LFC」という中小企業の本社がある。主事業は物流と通信販売の業務、社員数は約130人である。

 ◆理想を追求

 同社の設立は、今から約10年前の2003年、現社長である井上武氏が数名のスタッフとスタートしている。もう少し詳しくいうと、現在も井上社長が会長を務めるアパレルメーカーである「ラブリークイーン」の物流事業部であったが、お互いなれ合いにならないようにするためと、適度の緊張感を持った企業関係を構築するため、本隊を後継者にバトンタッチし、自身はあえて分社の社長としてスタートしている。

 しかも創業に際して、「ラブリークイーン」からの出資を仰がず、あえて井上氏や社員が出資し、理想を追求したしがらみのない別会社として創業した。

 設立当初は、当然のことながら「ラブリークイーン」の物流業務の仕事が、ほぼ100%だったが、その後は計画通りに新規取引先の開拓と新規ビジネスの創造に注力してきた。その苦労と努力が実り、今や「ラブリークイーン」の取引依存度は約50%に激減、他社が約50%にまで増加している。

 また準備に準備を重ね、2011年から本格スタートさせた新規事業である健康食品や化粧品さらにはアクセサリーなどの通販事業も、今や売上高の10%程度まで高まってきている。

 業績もすこぶる順調で、09年当時3億7000万円の売上高は、年々増加し13年は5億2000万円にまで高まっている。そればかりか利益率もこの間、安定的に5~8%である。

 こうした快進撃の要因は、マーケティング力や新商品開発力さらにはワンストップサービス力など多々あるが、あえて言えば、創業者である井上社長が打ち出した経営戦略が社内外の関係者の多大な支持を受けたからといえる。

 ◆社員尊重を実践

 井上社長が打ち出した経営戦略は、企業の目的を上場や規模さらには勝敗などにはおかず、社員や顧客の幸せに置き、この間愚直一途に人間第一主義経営、とりわけ「社員尊重の経営」を実践してきた。

 この間、井上社長らが実践した社員思いの経営・社員尊重の経営をより具体的に言えば、「実質定年制廃止」「積極的な障害者雇用」「毎日約40分もかけた全員参加のぬくもりのある朝礼」「実質ノー残業経営」「社員のための健康管理センターの建設」「全社員参加しての経営方針書の策定」さらには「経営の超ガラス張り」等々である。

 「社員のモチベーションの高い会社・ぬくもりのある会社で、業績が低迷している会社など歴史上存在しない…」が筆者の研究成果であるが、同社もそれを見事に証明してくれる。

 通用門の上部の壁に「このドアを通る人がわが社でもっとも大切な人々です…」とあるが、この言葉に偽りはなかった。

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【会社概要】アタックスグループ

 顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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