イタリアでは庶民の気軽な食べ物である「ピザ」だが、日本では宅配ピザでも2000円以上するため、日常食というわけにはいかない。「ピザを日本人の主食にしたい」と、本場の味と価格で提供しているのが「ナポリス」だ。運営している遠藤商事の遠藤優介社長は「本格的な窯焼きピザのマクドナルドを目指す」と話している。
--なぜ、ピザを日本に広めようと思ったのか
「生後すぐ横浜のお寺に拾われ、孤児院や里親の元で育った。サッカーの才能に恵まれ、13歳でイタリアセリエA、ユベントスのユースチームにスカウトされて渡航した。3年で解雇されたがイタリアに残り、各地でピザ職人として修業し、18歳で帰国した。その後日本を代表する世界的なピザ職人の大西誠氏と仕事をする機会に恵まれ、ピザを日本人の日常食にする事業をしようと思い立った」
--ピザのファストフードはありそうでなかった
「あらかじめ作ったものを温めて出している業態はあった。しかし、本格的な窯焼きピザは当社が初めてではないか。ピザの製作工程は、生地を作って延ばし、窯で焼くという熟練した職人技が必要で、アルバイトが簡単にできるものではない。職人を1人育てるには半年はかかる。そのため、本格ピザのファストフード化は不可能とされてきた。しかし、だれでもできる方法としてシステム化することを考えて実施した。独自のレシピで生地を作り、延ばす作業を自動でする世界最速の機械を開発し、オリジナルの窯で焼く。職人でなくてもおいしいピザを、1枚350円からという低コストで提供することが可能になった。また従来は注文を受けてから提供まで5~6分はかかっていたが、当社はわずか90秒で顧客を待たせることもない」