花粉症の人を悩ませるスギやヒノキの花粉。だが、林業関係者にとっては別の悩みがある。思うに任せない間伐と木材工場で大量に発生する樹皮(バーク)だ。間伐しても利用価値のない小径木はそのまま山に放置され、製材した後に残る樹皮の大部分は産業廃棄物として処理するしかない。ところが日本有数の木材生産地、埼玉県秩父地域で発生するこれらの“やっかいモノ”を新たな素材に生まれ変わらせたベンチャー企業がある。木材とプラスチックの再生複合材メーカー、WPCコーポレーション(東京都港区、社長・菊池武恭氏)だ。このプロジェクトに大きな期待を寄せる地元と、資源再生のための活動に賛同して試作品を導入した薬師寺東京別院、私立麹町学園と企業3社の声をお届けする。
◇
□秩父市長・久喜邦康氏
■森林資源を活用し新産業創出目指す
秩父市は、埼玉県の北西部にあり、面積は5万7769ヘクタールで、埼玉県全体の約15%を占めています。市域の88%は森林で、その面積は埼玉県の森林の約40%を占めており、秩父多摩甲斐国立公園や武甲・西秩父などの県立自然公園などの自然環境に恵まれた地域です。
本市の森林は、地域住民の生活に密着した里山から、林業生産活動が積極的に実施されるべき人工林帯、さらには大径木の広葉樹が立林する天然生の樹林帯までバラエティーに富んだ林分構成となっております。
私は、市長就任以来、林業の再興、森林の再生、森林資源を活用した新産業の創出を目指し、「山を蘇(よみがえ)らせる仕組みづくりの構築」のため、「奥山の森エリア」「人里の森エリア」「中間エリア」の3つのエリアに分けて、「未来へつなぐ森林資源」等8つのテーマを設定し、それぞれの地域の実情に合わせた取り組みを推進しています。